アドトラーザ(トラロキヌマブ)

アドトラーザについて

アトピー性皮膚炎の発症に重要な役割を果たす、免疫調節性サイトカインであるIL(インターロイキン)-13は、IL-13Rα1/IL-4Rα受容体複合体を介してシグナルを伝え、炎症反応を刺激し、痒みの発生に寄与し、正常皮膚のバリア機能に必要な蛋白の産生を阻害します。

アドトラーザ皮下注150㎎シリンジ(有効成分:トラロキヌマブ)は日本で初めてIL-13を選択的に阻害することで、中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者さまに効果を発揮する生物学的製剤です。

アドトラーザの特徴について

アドトラーザはアトピー性皮膚炎の病態に関与するIL-13を選択的に阻害することで効果を発揮するお薬です。
IL-13はアトピー性皮膚炎の患者さまの皮膚において過剰に発現していることから、その原因となるIL-13を選択的に阻害することを目的に開発されました。

他の生物学的製剤との違いについて

表は右にスライドが可能です。


デュピクセント
ミチーガ
アドトラーザ
実際
作用
ヒト抗ヒトIL-4受容体α抗体で、IL-4とIL-13に共通の受容体に結合して両者のサイトカインの活性を阻害し、皮疹やかゆみの原因をブロックする
▶︎投与後の症状改善へ即効性を期待
かゆみの原因物質であるIL-31をターゲットとした、ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体で、かゆみを抑える
ヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体で、IL-13に直接くっついて作用できなくさせ、皮疹やかゆみの原因を直接ブロックする
▶︎即効性はないものの投与を継続することにより症状を改善
適応患者
  • 従来の治療法では症状が改善しない、アトピー性皮膚炎の6か月以上の小児及び成人
  • 結節性痒疹の成人
  • 慢性蕁麻疹の12歳以上の小児及び成人
  • 従来の治療法ではかゆみが改善しない、6歳以上のアトピー性皮膚炎
  • 13歳以上の結節性痒疹
従来の治療法では症状が改善しない、15歳以上のアトピー性皮膚炎の患者及び成人
投与方法
初回600mg(注射2本)を皮下投与し、2回目以降は300mg(注射1本)を2週間間隔で投与
※体重・年齢により異なる
※自己注射が可能
30mgまたは60mgを4週間間隔で投与。 ※体重・年齢により異なる
※アトピー性皮膚炎で、13歳以上の方は自己注射が可能
初回600mg(注射4本)を皮下投与し、2回目以降は300mg(注射2本)を2週間間隔で投与
※体重・年齢により異なる
※自己注射が可能
薬価
18,514円/本
※3割負担で600mgペンの場合
34,928円/本
※3割負担で60mgシリンジの場合
35,154円/本
※3割負担で150mgシリンジの場合

デュピクセントとの違いについて

皮膚症状が75%以上改善する指標であるEASI75のスコアは以下の通りです。
使用開始後16週よりも32週の方がEASIのスコアが良かったことから、長期使用にて効果が発揮しやすいことがわかります。

また、併用が必要な外用ステロイド剤を減少できるという報告がある唯一の生物学的製剤です。
血中半減期は22日と非常に長く、海外では4週間に1回の投与が認められています。

EASI75デュピクセントアドトラーザ
16週間後68.9%56.4%
32週間後62.3%70.2%

投与スケジュールについて

初回600mg(注射4本)を皮下投与し、2回目以降は300mg(注射2本)を2週間間隔で投与します。

副作用について

アドトラーザは副作用が少なく安全にお使いいただける薬剤です。重篤な副作用報告はほぼありません。
2021年から先行して使用されているヨーロッパでは、全身療法の中で1stラインとして位置づけられています。結膜炎が少なく顔の赤みに対して効果があることが評価されているようです。

患者負担・薬価について

アドトラーザの薬価は、150mgシリンジで29,295円/本です。
3割負担の患者様で150mgシリンジで20,506円/本の薬剤費となります。アドトラーザの投与スケジュールを考慮すると、導入初月の薬価は175,770円(3割負担で52,731円)で、2か月目以降は117,180円/月(3割負担で35,154円)となります。
いずれも薬剤費のみの計算です。

よくあるご質問

アドトラーザの投与を始めたら、これまでアトピー性皮膚炎の治療のために使っていた塗り薬や飲み薬はやめてもよいですか?

投与中も、ほかの治療法を続けることが大切です。自己判断でほかの薬をやめてしまうと、期待される治療効果が得られない可能性があります。治療について分からないことがあるときは、ご相談ください。

自己注射を開始した後に、通院での注射に切り替えることはできますか?

ご家庭での自己注射が難しい場合は、いつでも通院での注射に切り替えることが可能です。遠慮なく当院の医師や看護師にご相談ください。