プロトピック軟膏（タクロリムス）

プロトピック軟膏とは

適応患者さんについて

プロトピック軟膏0.1％は16歳以上、プロトピック軟膏0.03%小児用は2歳以上15歳以下で、アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症がある患者様にお使いいただけます。

プロトピック軟膏の用法用量

プロトピック軟膏の特徴

プロトピック軟膏の特徴は、有効成分の分子量が大きい点です。
有効成分の分子量が大きいので、皮膚の状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されないことから、正常な皮膚に悪影響を及ぼさない点が安心と言えます。

なお、プロトピック軟膏の炎症を抑える強さは、ミディアム～ストロングクラスのステロイド外用薬と同程度とされており、かゆみに対する効果も期待できます。

プロトピック軟膏の副作用

刺激感について

プロトピック軟膏は塗った直後、一時的に皮膚の刺激感（ほてり、ヒリヒリ、かゆみ）が出ることがあります。これを灼熱感（しゃくねつかん）といい感じ方には個人差があります。皮膚の症状が良くなるにつれ、通常1週間くらいでおさまります。この刺激感が苦手な方には刺激の少ないコレクチム軟膏やモイゼルト軟膏という選択肢もあります。

なお、入浴時やお風呂あがりなど体がほてった状態に刺激感が強くなることがあります。まずはほてりがなくなってからプロトピック軟膏を塗るとよいでしょう。
保湿剤を先に塗ったり、塗ったところを冷やしたりすると刺激感を抑えることができます。
また刺激感が出たときはステロイドを短期間使用してからプロトピック軟膏を使用することもあります。

刺激を感じる理由

刺激を感じるのはプロトピック軟膏の有効成分であるタクロリムスが吸収されているからです。タクロリムスは皮膚から吸収されると刺激や皮膚の知覚神経に作用します。そしてかゆみの元となる物質が大量に放出されます。そのため使い初めに刺激感が感じられます。
プロトピック軟膏を塗り続けると、刺激やかゆみの元となる物質がすべて放出され、また刺激やかゆみに慣れるため徐々に刺激感が減っていきます。

患者負担・薬価について

プロトピック軟膏0.1%の薬価は66.0円/gであり1本5gですので1本当たり330円です。
 3割負担の患者様で99.0円の薬剤費となります。
同様にプロトピック軟膏0.03%小児用の薬価は78.6円/gであり1本5gですので1本当たり393円です。
 3割負担の患者様で117.9円の薬剤費となります。

よくあるご質問

プロトピックは目の周り（まぶた）に塗っても大丈夫ですか？

プロトピックは目の周りにも塗ることができます。
ただし、プロトピックは眼科用剤ではありません。また、粘膜への使用は禁忌となっているため、目に入らないようご注意ください。
万が一目に入った場合は、すぐに洗い流してください。洗い流したあとに刺激感などが残る場合は、すみやかに眼科を受診してください。

プロトピックはニキビのある箇所に塗っても大丈夫ですか？

にきびやおできを含むバイ菌やウィルス、カビによる皮膚感染症の発症部位、皮膚がジュクジュクしている部分に塗るのは避けてください。
プロトピックの有効成分であるタクロリムスは免疫抑制薬です。ニキビなど皮膚感染症のある部位に塗布すると、皮膚の抵抗力が落ちて症状が悪化するおそれがあります。

プロトピックを使用中、日焼けしても大丈夫ですか？

動物（紫外線照射で100％皮膚ガンが起こる「アルビノマウス」という特殊なマウス）を対象とした試験で、紫外線照射と並行してプロトピックを塗布すると皮膚腫瘍の発生時期が早まることが示されているため、プロトピックを塗った部位は、強い日光に長時間当てないでください。
日焼けランプや紫外線ランプの使用についても、上記同様プロトピック軟膏を塗っている部位には避けてください。

ただし、ヒトにおいて紫外線照射とプロトピックの塗布を併用した場合に発がんリスクが高まるという明確なエビデンス（科学的証拠）はありません。また、国内で実施された計12,000人年を超える長期使用調査では、皮膚がんなどの悪性腫瘍は認められていません。
したがって、日常的な外出などは特に問題ないと考えられます。
ただ、アトピー性皮膚炎の方は肌が敏感なため、外出時には日焼け止めを併用するようにしましょう。